企業トップによる不適切な会計処理や品質偽装等の企業のガバナンスの在り方が問われるような不祥事だけではなく、パワハラやセクハラのような職場での問題も企業不祥事として近年注目を集めるようになっております。そして、そのリスクは、企業規模に関わらず、全ての企業において存在しています。
企業不祥事の多くは、平時における地道な対応で、防げたり、影響を小さくすることができたりする一方、対応ができていないままリスクが顕在化した場合には、企業のレピュテーションに大きな影響を与える恐れがあります。
このような中、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が昨年6月1日に施行され、職場のパワーハラスメント対策として雇用管理上必要な措置を講じることが事業者の義務となりました(中小企業は、2022年3月31までの間は、努力義務)。また、昨年6月8日に成立した改正公益通報者保護法では、事業者に内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備が義務付けられた(従業員300名以下の事業者については努力義務)ほか、公益通報への対応に従事する者に対して守秘義務が課され、違反した場合には刑罰も課されることとなりました。
さらに、昨今の新型コロナウィルスの影響により、在宅勤務の普及など、従業員の労働環境や勤務形態が大きく変わってきたことから、これまでであれば職場内において発見・抑止できていた不正やハラスメントの発見・抑止が困難となり、社内コンプライアンス体制を見直す必要性を感じている事業者も多くなってきております。
そこで、本セミナーでは、多数の企業において内部通報窓口の構築・運用を担当し、改正公益通報者保護法を含む企業のコンプライアンス体制の構築・運用に精通している戸田弁護士とハラスメント事案を含む多数の労働事案を担当し、改正労働施策総合推進法を含む企業の労務問題に精通している近藤弁護士が、改正公益通報者保護法および改正労働施策総合推進法を遵守した実効性のある窓口の構築方法とハラスメントなどの相談が来た際の具体的な相談対応の実務について解説します。
近藤 圭介 (こんどう けいすけ) 氏
労働法案件全般、リスクマネジメント、M&A案件を主に取り扱っており、特に最近では、働き方改革関連法の対応、労働組合対応などの紛争案件を中心に対応している。また、多くの企業の内部通報窓口も担当し、パワーハラスメントに関連するセミナーの講師の経験も豊富である。
https://www.tmi.gr.jp/people/k-kondo.html
戸田 謙太郎 (とだ けんたろう) 氏
独占禁止法・競争法、海外贈収賄規制、国際通商(経済制裁、アンチ・ダンピング)、ビジネスと人権、公益通報者保護法、グローバル・ガバナンス体制の構築など、グローバルでのコンプライアンスに関するアドバイスやフォレンジックなどの情報ガバナンスを主な取り扱い分野としており、社内コンプライアンス研修の講師なども精力的に行っている。競争法の分野においては、日米欧を含む、各国競争当局による調査への対応やクラスアクション等の海外における民事訴訟への対応の実務に精通しており、M&Aにあたっての各国競争当局への企業結合届出についても日常的に対応している。また、The Legal 500 Asia Pacific のAntitrust and competition分野においては、 2020及び2021に、Next Generation Partnersに選出されている他、Chambers Asia-PacificのInternational Trade分野においては、Co-Headを務める国際通商チームがBand 2の評価を受けている。
https://www.tmi.gr.jp/people/k-toda.html