第 5158 回

「洋上風力発電の改正公募占用指針と洋上風力発電の契約書並びにプロジェクトファイナンス」
-ラウンド2の一般海域の公募及び港湾洋上風力発電の契約交渉を踏まえて

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2023年7月11日(火) 13:30~16:30
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電話 03-3639-8858
当セミナーは全 回のシリーズ開催です。
1回のみでもお申込みいただけます。

講師

江口 直明
ベーカー&マッケンジー法律事務所 パートナー弁護士

講演趣旨

 2021年12月24日に秋田能代・三種・男鹿、秋田由利本荘、千葉銚子での洋上風力のRound1公募の結果が発表され、1コンソーシアムがすべての海域の選定事業者となり、衝撃が業界を走った。その結果については日本風力発電協会や各公募応募者から経産省及び国交省に様々な申し入れがなされた。

 それらを受けて経産省洋上風力促進ワーキンググループ/ 国交省洋上風力促進小委員会 合同会議が開かれて、結果のレビューと今後の改善の方向性が話し合われ、「一般海域における占用公募制度の運用指針」の改定がなされ、長崎県西海市江島沖、新潟県村上市及び胎内市沖、秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖が促進区域の指定を受け、既に促進区域の指定を受けている秋田県八峰町及び能代沖と合わせて、ラウンド2の公募が始まった。本講演ではRound 2の公募占用指針、パブコメ回答の重要ポイントを解説する。

 「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(再エネ海域利用法)が2019年4月1日から施行され、2020年12月15日の官民協議会では2030年までに、日本で10GWの洋上風力発電導入を目標とし、毎年1GW(1兆円)の投資が決まった。
 浮体式洋上風力発電の導入目標も今年出される予定で、EEZの利用権(特に浮体式洋上風力発電のため)を設定する新法も来年の通常国会提出をめざして作業が進められているといわれている。フランスのナント市で開かれたFloating Offshore Wind Turbineセミナーの最新情報を報告する。

 台湾では台湾政府が5.5GWの洋上風力発電を推進し、ベーカー&マッケンジー台北事務所では、そのうち6件、累計1.95GW分の入札者の支援を行い落札を勝ち取った。台湾では2026年から2035にかけてさらに15GWの入札が控えている。2022年には台湾のRound3.1の3GWの入札が締め切られ、7社が落札した。韓国ではGW規模の浮体式洋上風力の計画も登場している。

 洋上風力発電は国際間の競争ともなっている。1海域350MWを基準とする日本の入札では、1海域1GWを基準とする海外の入札に見劣りし、サプライチェーン形成に不利に働いてしまう。盛り上がる欧州、台湾の市場が優先されてしまうことになる。 洋上風力発電は規模が大型化し3000億円を超えるものとなっている。資金調達のためにはプロジェクト・ファイナンスを視野に入れなければならない。

 本講演の前半では、入札で勝ち抜くためには何が必要かを解説する。後半では、港湾洋上風力発電案件で実際に契約交渉に関与している経験を生かして、洋上風力発電を円滑に進めるための各種契約書作成の実務と法的リスク軽減策について解説する。
 工事請負契約も洋上での作業が中心となるため、洋上工事特有の点、特に遅延リスクに配慮しなければならない。
 資金調達のためには、洋上風力発電に適したプロジェクト・ファイナンスの融資契約・担保契約を作成・交渉しプロジェクトを組成していく必要がある。それらの実務と法務についても解説する。

補足案内

●本セミナーではZoomを使います。応募されますと、「LIVE配信」および「動画配信」の両方が利用できます。●応募後に「LIVE配信」への参加が不都合となった場合は、キャンセルではなく「動画配信」のみのご利用となります。その場合も料金は変わりありません。●最初から「動画配信」のみへの応募もできます。●「動画配信」は、セミナー終了後、3営業日ほどで配信開始します。視聴期間は視聴開始から4週間です。●本セミナーに会場受講はありません。

講演項目

 1.再エネ海域利用法、公募占用指針の改正点、ラウンド2のパブコメ結果
 2.欧州及び台湾の洋上風力発電
 3.風力発電機供給契約(Turbine Supply Agreement)
 4.洋上風力発電所建設契約
   (Balance of Plant Construction Agreement)
 5.洋上風力発電所サービス・補償契約
   (Service & Warranty Agreement)
 6.洋上風力発電所運営契約(O&M Agreement)
 7.洋上風力発電のプロジェクト・ファイナンス
 8.スポンサーサポート契約

講師紹介

 江口 直明 (えぐち なおあき) 氏
 ベーカー&マッケンジー法律事務所、金融グループ所属、再生可能エネルギーグループのリーダー。
 取扱風力案件:港湾洋上風力3件、ラウンド1一般海域洋上風力発電入札支援2件累計で1GW超、北海道幌延、北海道さらきとまない、北九州響灘、青森県六ヶ所村、愛媛県三崎町、秋田県八竜、石川県輪島、秋田港等累計17件、300MW超。
 取扱太陽光案件:丸紅大分82MW、ソフトバンクエナジー苫東安平111MW等の大規模案件、累計250件超、3,000MW超、屋根貸し案件、Corporate PPA。
 取扱バイオマス案件:吾妻木質バイオマス発電(13MW)、向浜バイオマス発電(20MW)、石狩バイオマス50MW, 50MW x 4と75MW x 3の輸入木質バイオマス発電案件等累計500MW。
 その他案件:IGCC福島石炭ガス化複合発電1,080MW(3,000億円超)、相馬港天然ガス火力発電1,180MW(1,400億円)等プロジェクトファイナンス、仙台空港、関西空港(入札支援)、福岡空港、熊本空港、北海道7空港(3,651億円インフラファイナンス)、広島空港等の民活空港案件。大阪ユニバーサルスタジオ向けプロジェクトファイナンス(1,250億円)福岡クリーンエナジー、東京臨海リサイクルパワー、第2期君津地域広域廃棄物PFI事業等Waste to Energy事業。
 1986年一橋大学法学部卒業、1988年東京弁護士会登録、1992年ロンドン大学(UCL)法学修士(国際ビジネス法)取得、1993年ベーカー&マッケンジーロンドン事務所勤務。
 内閣府PFI推進委員会専門委員(2010年~2020年)。日本風力発電協会洋上風力金融タスクフォースリーダー(2020年~)。
 主な論文 「日本におけるプロジェクト・ファイナンスの立法課題」(ジュリスト1238号)、「アジアにおけるプロジェクトファイナンス」(OKAJI)、「洋上風力発電金融ガイドブックVol. 1及び2」共著(日本風力発電協会2021年/2022年)他