第 3610 回

米国OFAC規制の域外適用と経済制裁デューディリジェンスの実践手法

~各国制裁・国内規制の動向、輸出管理規制との比較、仮想通貨のリスク分析を含めて

会場受講
2018年5月23日(水) 13:30~16:30
金融ファクシミリ新聞社
セミナールーム
東京都中央区日本橋小網町9-9
小網町安田ビル2階 地図
電話 03-3639-8858
当セミナーは全 回のシリーズ開催です。
1回のみでもお申込みいただけます。

講師

高橋 大祐
真和総合法律事務所 パートナー弁護士

講演趣旨

 米国のOFAC(海外資産管理局)による経済制裁規制の域外適用が積極化しており、巨額の制裁金が課せられるリスクに対処するために、日本の企業・金融機関はコンプライアンス対応に迫られている。2014年6月、仏系金融機関BNPパリバ銀行がOFAC規制違反として摘発され約9100億円という史上最高額の罰金の支払いに応じざるを得なくなった事件は衝撃を与えた。その後も摘発は相次ぎ、2017年以降だけでも中国系通信機器メーカー中興通訊(ZTE)やシンガポール系IT企業CSEなど多様な国籍・業種の企業が摘発されている。
 一方、各国への制裁内容も急展開している。イランは,核合意に基づき制裁が緩和されていたが、合意破棄を主張するトランプ氏が大統領就任後、制裁強化が進んでいる。キューバも、国交正常化交渉開始後に制裁が緩和されていたが、方針転換が生じている。ロシアは米大統領選への介入、北朝鮮は核ミサイル問題などをふまえ、制裁がさらに強化されている。
 さらに、日本国内でも、金融庁「マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン」発表、外務省「国連制裁室」新設、仮想通貨・FinTechのリスク顕在化などをふまえ、経済制裁・マネロン対策の必要性が高まっている。
 そこで、本セミナーでは、米国OFAC規制の域外適用とこれに対応するDDの手法を輸出管理規制との比較を交えながら解説すると共に、DDを補完するグローバル暴力団排除条項に関しても、モデル条項コメンタールを配布の上、法的論点に関して議論する。また、各国に対する制裁や日本国内の対策の動向についても解説する。

補足案内

講演項目

1.米国OFAC規制の概要と実務影響
―域外適用の法的根拠と実例を中心に
2.経済制裁規制DDの手法
―事例を通じた実践方法とグローバル暴力団排除条項の解説、輸出管理規制との比較も含めて
3.各国に対する経済制裁の急展開と実務影響
―対イラン・キューバ・北朝鮮・ロシア・ベネズエラ制裁を中心にセミナー当日までのアップデートを解説
4.日本国内の経済制裁・マネロン対策動向と実務影響
(1)金融庁「マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン」のポイントと影響
(2)外務省「国連制裁室」新設の背景と影響
(3)仮想通貨・FinTechのマネロン・制裁リスクの分析
5.経済制裁規制コンプライアンス体制整備のあり方
-内部統制システム整備のための具体的なステップも含めて

講師紹介

高橋 大祐 (たかはし だいすけ) 氏
 2003年司法試験合格。04年早稲田大学卒業、05年司法修習修了、弁護士登録、真和総合法律事務所入所。08~09年、欧州連合国費給付奨学生として、ドイツ・ハンブルク大学、イタリア・ボローニャ大学、フランス・エクスマルセイユ大学に留学し、各国から法学修士号取得。09~10年、米国フレッチャー法律外交大学院に留学し、国際法学修士号取得。10~11年、米国K&L GATE法律事務所。国際法曹協会CSR委員会オフィサー,日弁連CSRと内部統制PT副座長、早稲田大学日米研究所招聘研究員、JETROアジア経済研究所外部委員、上智大学法学部非常勤講師も務める。
<関連著作>
 「経済制裁規制の域外適用にどう対応するか」(ビジネス法務2016年4月号トレンドアイ)、「FinTech仮想通貨におけるマネロン・反社リスクの所在」(旬刊商事法務2133号)、「オバマ暴排大統領令と東京都暴排条例」(NBL966号 共著)、「グローバル時代の反社会的勢力対応」(NBL991・993号)、「緊迫する世界情勢下におけるグローバル危機管理」(NBL1015号巻頭言)、「サイバーセキュリティをめぐる欧米規制と日本企業の対応策」(ビジネス法務2018年1月号)など多数。