第 3696 回

粉飾決算による上場廃止に伴う主幹事証券会社など関係者の責任問題
~エフオーアイ事件判決の分析を通じて~

会場受講
2018年8月30日(木) 9:30~11:30
金融ファクシミリ新聞社
セミナールーム
東京都中央区日本橋小網町9-9
小網町安田ビル2階 地図
電話 03-3639-8858
当セミナーは全 回のシリーズ開催です。
1回のみでもお申込みいただけます。

講師

谷 健太郎
弁護士法人三宅法律事務所 代表社員弁護士
松崎 嵩大
弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

講演趣旨

 半導体製造装置の製作会社であるエフオーアイが,粉飾決算とその隠蔽工作を繰り返し,虚偽記載のある有価証券届出書を提出してマザーズ市場への上場を行ったところ,証券取引等監視委員会の強制調査により粉飾決算が明らかになり,わずか半年で破産・上場廃止に追い込まれたことは,世間でも広く注目されました。エフオーアイ株式を取得した株主らが,金商法21条1項,17条,民法709条などに基づき,エフオーアイの役員,元引受証券会社,販売証券会社,東証及び日本取引所自主規制法人らに損害賠償請求をした訴訟では,一審判決(東京地判平成28年12月20日)が主幹事証券会社の損害賠償責任を認めたのに対して,先日の控訴審判決(東京高判平成30年3月23日)がこれとは異なる判断をしたことからも,注目を集めています。
 粉飾決算等による上場廃止に伴う元引受証券会社の責任に係る法的解釈には争いがあり,これまで,元引受証券会社が引受審査において尽くすべき「相当な注意」の水準や,同じくゲートキーパーとしての役割が期待されている公認会計士・監査法人との役割分担等も含めて,様々な議論が展開されてきました。本セミナーでは,これらの議論について,エフオーアイ事件の裁判例の分析を通じて解説するとともに,その他の関係者の法的責任についても概観し,エフオーアイ事件が今後の引受審査実務等に与える影響についても検討します。

補足案内

講演項目

1 有価証券届出書の虚偽記載に係る責任
(1)上場企業の役員等の責任
(2)公認会計士・監査法人の責任
(3)元引受証券会社の責任
(4)販売証券会社の責任
(5)取引所及び自主規制法人の責任
(6)その他
2 元引受証券会社の責任を巡る議論
(1)金商法21条2項3号と17条の関係
(2)元引受証券会社が尽くすべき「相当な注意」の水準
(3)ゲートキーパーとしての公認会計士・監査法人の責任
3 エフオーアイ事件判決の分析
(1)事案の概要
(2)一審及び控訴審判決の判示のポイント
(3)一審と控訴審の判断の分かれ目のポイント
4 エフオーアイ事件が引受審査実務等に与える影響

講師紹介

谷 健太郎(たに けんたろう)氏
 昭和59年京都大学法学部卒業。昭和61年東京地方裁判所判事補任官。昭和63年第一東京弁護士会登録。平成8年ニューヨーク州弁護士登録。平成28年6月~平成29年6月三菱UFJ国際投信株式会社監査役・同月~同社取締役。主な取扱業務は,銀行・証券会社の訴訟業務,銀行法・金商法等の金融規制法に関するアドバイス等。近時の関連論文として,「元引受証券会社の責任と相当な注意」金融法務事情2089号4頁。
松崎 嵩大(まつざき たかひろ)氏
 平成16年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。平成19年第一東京弁護士会登録。主な取扱業務は,銀行・証券会社の訴訟業務,銀行法・金商法等の金融規制法に関するアドバイス等。